北野天神縁起絵巻と孝養報恩 : 霊験譚「銅細工娘の段」の成立

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タイトル別名
  • キタノ テンジン エンギ エマキ ト コウヨウ ホウオン レイゲンタン ドウ ザイクムスメ ノ ダン ノ セイリツ
  • The Illustrated Legend of Kitano Tenjin : The Formation of Miracle Story “The Daughter of the Copper Workman”

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抄録

本論は、北野天神縁起絵巻における霊験譚「銅細工娘の段」の内容を紹介し、詞書と場面絵を総合的に読み解くことにより、霊験譚が担った役割について考察した。北野社の帰依・崇敬をより強固なものにするため『建保本』にて増補された霊験譚「銅細工娘の段」であった。これが、父母の孝養報恩、追善供養という日々の実践を、天神の利生による至福として結びつかせ、中世の人々が北野社への帰依を寄せるという機能を果たしていたのである。また、「銅細工娘の段」で強調される仏事・儀礼が、『平家物語』、『御成敗式目』にも共通した思想である忠孝にあることにより、天神信仰の展開が中世民衆、武家社会に受け入れられるように仕組まれていたことを明らかにした。天神信仰の特色は、中世の人々の願いとしての至福が、当時最も身近な関係であった親子関係を対象とし、孝養報恩という日々の実践を仏事という儀礼を例に、それが天神の利生であるということを説いたのであった。

霊験譚

孝養報恩

銅細工

参籠

忠孝

identifier:DB003900003087

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