昭和16年の日常・生活意識・時代感覚 : ある看護婦の日記から

書誌事項

タイトル別名
  • ショウワ 16ネン ノ ニチジョウ セイカツ イシキ ジダイ カンカク アル カンゴフ ノ ニッキ カラ
  • Daily Life of a Nurse in 1941 : Life Awareness and Sense of the Times in her Diary

この論文をさがす

抄録

仮説を,大阪で派遣看護婦として働いていた20代女性の日記から検証する。すると見えてくることがある。それは女性の印象が「のんき」であるということだ。昭和16年当時は日中戦争のただ中であり,日本は完全な戦時下という状況であった。それにもかかわらず日記の中の日常は,現代の我々に伝えられる「戦争」というイメージからはほど遠い。不穏な社会情勢よりも女性にとって大切なことは,自分個人の将来,とりわけ婚約者との将来だった。このような点からも,女性の日常はまだ平穏であったと思われる。しかし戦時下であったことは事実であり,日記中には「戦争をすることへの躊躇」を感じさせない勇ましい文章が並ぶ。この女性は,こうしたアンビヴァレントな意識をもち,戦時下独特の不穏な空気のなか,平穏な生活を送っていたのである。

昭和16年

戦時下

日記

看護婦

日常生活

identifier:DS003900002992

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ