境界例における「同一性の不確実性」

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タイトル別名
  • キョウカイレイ ニ オケル ドウイツセイ ノ フカクジツセイ
  • Identity Confusion in Borderline Personality Disorder

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抄録

「同一性の不確実性」は、境界例の心理療法の「見立て」や診断基準に有効な限定項目であるが、一応の確定をみるまでに長年月を要した。それは、境界例の「境界性」を損なわない項目を限定することの難しさや、人格障害の一類型とするよりも症候群とする方が適切ではないかという考えなどが払拭されなかったからで、現在おいても内外を問わず多くの研究報告が提出されている。本論文は、その中から「同一性の不確実性」に関する報告を比較参照して、それは、(1)どの程度有効な境界例の「見立て」や診断基準の限定項目でありうるのか、(2)「境界」状況のなかの退行過程との関係、(3)“同一性”の再形成への願望の有無と個人心理療法が成立する可能性、(4)他の精神障害にはない独自性なのか、そして、(5)「同一性の不確実性」を中心に、境界例の「見立て」とDSMの診断基準との相違に関して検討した。その結果、各項目において心理療法の実践に有効な知見が得られた。

境界例

境界性

同一性の不確実性

見立て

DSM

identifier:DK003900002962

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