仏教寺院の温泉、共同浴への影響について (史学科創立50周年記念号)

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タイトル別名
  • ブッキョウ ジイン ノ オンセン 、 キョウドウヨク エ ノ エイキョウ ニ ツイテ
  • The Influence on Hot Springs and Public Baths by Buddhism

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抄録

共同入浴についての研究は温泉、銭湯の面からなされているが、仏教寺院による施浴(寺湯)の果たした役割はあまり認識されていない。歴史的には奈良時代の光明皇后の立願風呂、源頼朝による百日施浴などが有名だが、寺院による施浴は年中行事の一部として近年まで行われていた地域がある。また江戸時代までに、温泉の源泉に薬師如来を祀る寺院や仏堂が広く普及した。銭湯が登場する以前の時代、共同入浴は仏寺との関係が深かったことがわかる。本稿では法隆寺に残る文書から戦国時代の寺湯、京都府城陽市に昭和三十年代まで行われていた東大寺二月堂を信仰する城州一心講を信仰するオンマカブロ、奈良県山添村長久寺の「大師御夢想湯」、新潟県松之山温泉の薬師堂と薬師講の調査をもとに、共同入浴と仏教寺院の歴史的関係を具体的に検討した。その結果、近年まで存在した寺湯や、農村部の各種の講によって営まれた共同浴は、中世・近世を通じて密接に関連しており、温泉もその例外ではないことが明らかになった。

寺湯

共同入浴

温泉

薬師堂

identifier:RO000700008586

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