在日コリアンの方言接触 ―二世の事例研究―

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  • ザイニチ コリアン ノ ホウゲン セッショク : ニセイ ノ ジレイ ケンキュウ
  • Korean Dialect Contact in Japan: A Case Study of Second Generation Korean Immigrants

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抄録

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在日コリアンのオールドカマーにおける朝鮮語の方言接触に関しては、金美善(2001)、康貞姫(2003)、宋実成(2010)等により、朝鮮語方言は二世以降にも朝鮮語および日本語との接触を経て変容を遂げながら保持されていることが明らかにされてきた。これらの研究は、大阪府生野区に集住する済州道方言の話者を主な対象とした研究や関西在住の話者を対象とした事例研究であり、戦前から移住人口が圧倒的に多い慶尚道出身者の方言接触とそれに伴う変容に関する研究は、管見の限り行われていない。また、関西に次いで在日コリアンが集住する首都圏における方言接触の研究は行われていない。そこで筆者らは祖国からもたらされた慶尚道方言が日本の地で朝鮮語の諸方言や日本語と接触した結果どのような変容を遂げているかを探るため、首都圏に在住する慶尚道出身者二世の朝鮮語の語彙・音韻に関する調査研究に着手した。本稿では途中段階の報告として、首都圏に在住する慶尚道出身の二世の事例について定性的に考察した。その結果、調査対象者の音声面において、慶尚道の方言的特徴である半母音 のゼロマーキングおよび軟口蓋音の口蓋音化の事例が確認され、語彙に関しては古い語彙の化石化が観察された。今回得られた知見をもとに、今後は松本・奥村(2019)の方法論を援用した定量的分析を行い、方言接触についての理論検証を行う必要がある。

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