東田ミュージアムパークを活用した環境・科学教育における人新世という視点

書誌事項

タイトル別名
  • Anthropocene-based contextualized perspectives for environmental and science education to be provided in the Higashida Museum Park in Kitakyushu city
  • ヒガシダ ミュージアムパーク オ カツヨウ シタ カンキョウ ・ カガク キョウイク ニ オケル ヒト シン セイ ト イウ シテン

この論文をさがす

抄録

2000年に大気化学者Paul Crutzenと珪藻類を専門とする生物学者Eugene Stoermerによって、「我々は、もはや地質年代学的に『完新世』という時代にいるのではなく、人類の活動が地球環境に影響を及ぼすようになった『人新世』という時代の最中にいる」という趣旨の新しい概念が提唱されて以来、自然科学分野のみならず社会科学分野においても多くの研究者による熱い議論が繰り広げられている。提唱者であるCrutzenらは、人新世の起点を産業革命期に求め、それ以降の約2世紀半の地球環境の変化に注目し、特に最近の70年間を大加速期と捉えている。一方、国際層序委員会・第四紀層序小委員会・人新世ワーキンググループは、過去70年間に起きた人工物の環境への放出の加速的な増加に着目し、人新世の起点を20世紀半ば、特に1950年代初頭とする案を公表している。筆者は、過去に、アジアにおける人新世の起点を明治日本の産業革命に求める考えを公表している。本論文では、アジアの産業革命の起点となり、地球規模での産業の大加速期に対応する時期に深刻な環境問題を乗り越えた経験を有し、国際的に認知される環境モデル都市として持続可能な社会への移行に関するモデル事例を提示してきた北九州市の在り方から人新世の本質と今後の推移を考察する。また、筆者は、八幡製鉄所東田第一高炉の跡地である北九州市・東田地区に産業史跡・科学館・博物館群が集積し、ミュージアムパークが形成されつつある現状に鑑み、同市・東田ミュージアムパークが、歴史的な背景を反映し、博物館と科学館が連携した形で、人新世に対する視点を提供する場となることを希望している。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ