民俗宗教は公共哲学か?-祖霊信仰をめぐる問いと公共宗教

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  • ミンゾク シュウキョウ ワ コウキョウ テツガク カ ソレイ シンコウ オ メグル トイ ト コウキョウ シュウキョウ

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抄録

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宗教ないしスピリチュアリティと公共性との関係は、公共哲学にとっても重要な問題であり、「公共宗教」ないし「公共的霊性」という概念が提起されている。近年も次々と重要な著作や論稿が刊行されており、コミュニタリアニズム研究においても宗教との関係は重視されている。本誌でも『公共研究』第3巻第1号(2006年)で特集「スピリチュアリティと平和」が組まれており、筆者も寄稿している。また、この特集で寄稿していただいた鎌田東二氏が編集する『スピリチュアリティと平和』(講座スピリチュアル学、ビイング・ネット・プレス、第3巻)もまもなく刊行され、そこには筆者の他、千葉眞、板垣雄三、金泰昌、山脇直司らの諸氏の論稿が掲載される。 9・11のアメリカ同時多発「テロ」の後、アフガニスタン戦争やイラク戦争において、キリスト教原理主義とイスラーム原理主義との緊張関係が問題になり、宗教間の緊張関係が「文明の衝突」を加速させる危険性が危惧された。最近のフランスにおけるシャルリー・エブド襲撃事件や、「イスラム国」の問題は、この問題を再び浮上させており、宗教と公共性との関係は、より深刻な世界的問題として意識されつつあると言えよう。 ただ、西洋で行われている議論の多くはキリスト教やユダヤ教などを念頭に置いているので、東洋や日本の宗教をこの視角から論じているものは多くはない。この中で、仏教、特に浄土真宗と公共性の関係については、小林正弥監修、藤丸智雄編『本願寺白熱教室』(宝蔵館)がまもなく刊行予定であり、そこに浄土真宗の関係者の論稿も掲載される。このように日本では仏教や

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