ベーシック・インカム構想と勤労倫理 : 制度の是非から社会の観察と関与へ

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タイトル別名
  • ベーシック インカム コウソウ ト キンロウ リンリ : セイド ノ ゼヒ カラ シャカイ ノ カンサツ ト カンヨ エ
  • Basic Income and Labor Ethics : for the Observation of and Commitment to "the Social"

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抄録

社会保障や税控除を統合し,すべての人に一定の金額を無条件に分配するベーシック・インカムの構想は,生産が足りている社会の中で,人々の生活の保障をし労働からの離脱を容易にすることで,有用性や創造性の高い職業への人々の移動を可能にする。しかし,この構想は「働かざる者食うべからず」の勤労倫理に抵触してしまうために賛同を得にくい面がある。本稿では,筆者が授業者として行った講義とそれに対する受講者のレポートをデータとして,ベーシック・インカム構想への人々の反応によって,どのような課題が提起されるのかを明らかにすることが目的である。ここから,この構想が勤労倫理に抵触し実存的な反発を惹起するからこそ,人々に社会システムの観察を促す機能があることが指摘できる。それに対する応答によって,異なるレベルの議論へとコミュニケーションを接続させることができるのである。

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