耳下腺に発生した硬化性多嚢胞性腺症の1例

書誌事項

タイトル別名
  • 症例 耳下腺に発生した硬化性多嚢胞性腺症の1例
  • ショウレイ ジカセン ニ ハッセイ シタ コウカセイ タノウホウセイセンショウ ノ 1レイ
  • ジカセン ニ ハッセイ シタ コウカセイ タノウホウセイ センショウ ノ イチレイ
  • A case of sclerosing polycystic adenosis of the parotid gland

この論文をさがす

抄録

type:text

症例は18歳女性。花粉症にて近医耳鼻科受診した際に左耳下腺腫瘍を指摘された。穿刺吸引細胞診が2回施行されたが,両方ともclass Ⅱで診断には至らず,当院耳鼻科を受診した。エコー上,左耳下腺に19.5㎜大の境界明瞭な腫瘍を認めた。MRIでは内部不均一な腫瘍を認め,悪性腫瘍との判別は困難だった。針生検では,典型的な多形腺腫の所見は認められないものの,硝子様線維化の高度な多形腺腫の可能性が疑われた。耳下腺癌の可能性も考慮し,左耳下腺浅葉切除術が施行された。肉眼的には耳下腺内に21x15㎜大の境界明瞭な淡褐色充実性病変を認めた。組織学的には,硝子様線維化の高度な間質を背景に,小嚢胞状拡張を伴う導管構造が不明瞭ながら小葉状に分布する像を認めた。一部に篩状構造を呈する腺管が混在し,好酸性顆粒を有する腺房細胞もわずかに認めた。多形腺腫や悪性を示唆する所見はみられなかった。免疫組織学的に,腺管にはcalponinやp63陽性を示す筋上皮を認め,上皮の2相性は保たれていた。以上の所見から硬化性多嚢胞性腺症と診断した。術後経過は良好で,術後3年の時点で再発や転移は認められていない。しかしながら,過去の報告ではSPAの再発例や癌合併例の報告,クローン性増殖を示唆する報告などがされており,慎重にフォローアップする必要がある。

収録刊行物

詳細情報

問題の指摘

ページトップへ