【書評論文】安斎正人著『気候変動の考古学』(2012年)

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タイトル別名
  • 書評論文 安斎正人著『気候変動の考古学』(2012年)
  • ショヒョウ ロンブン アンサイセイジン チョ 『 キコウ ヘンドウ ノ コウコガク 』(2012ネン)
  • 【ショヒョウ ロンブン】 アンザイ マサトチョ 『キコウヘンドウ ノ コウコガク』 (2012ネン)
  • 【BOOK REVIEW】Book Review of ANZAI Masato's“ Archeology of Climate Change"

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抄録

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A 5 版、同成社、188頁、2012年9 月。本書は、現生人類(ホモ・サピエンス)の出現以降の文化変遷について、考古学の立場から気候変動との相関性を分析したものである。近年、極地氷床コアの分析が進み、過去に起こった気候変化を広範囲かつ高精度に復元することが可能になったこと、加速器質量分析(AMS法)による高い精度の年代測定により、考古資料との対比が可能となったことにより、人類の変遷と気候が密接に関連することが明らかとなってきた。著者である安斎は、ヨーロッパから西アジアを中心とした旧石器時代から新石器時代の始まりを概観し、その視点で日本の縄紋文化の成り立ちと変遷に気候変動がどのように作用したのか考察する。特に完新世以降、8回にわたる急激な寒冷化「ボンデ・イベント」に着目し、九州南部の縄紋時代草創期から早期に発達した遺跡群について分析を行っている。全体として、分析がやや荒削りである点が気になるが、精緻な土器編年にこのような分析が立脚することで、より実態に迫った生活復元が可能となり、今後の考古学にとって極めて重要であると思われる。本稿ではこうした視点から、本書の内容をまとめ、その成果や課題について述べる。

安斎正人の読みは原文のまま。CiNii Booksでは、アンザイ マサヒト。

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