ハンドボール選手の視機能に関する研究
書誌事項
- タイトル別名
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- A study on the visual functions of handball players
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[はじめに] スポーツの世界では「周りの見える選手」「球がよく見えている」「眼がいい」などといった表現をされることが多く、スポーツの世界でいかに「眼」が大きな役割を果たしているかがうかがわれる。特に球技系スポーツにおいては敵や味方の動き、ボールの動きといった様々な状況の中で視覚が最も重要な役割を果たしているといわれている 6)。1978年にアメリカにおいてスポーツに対する視機能について「スポーツビジョン」と総称され、研究がはじめられた 7)。この「スポーツビジョン」は、わが国においても真下や石垣らを中心に1988年に「スポーツビジョン研究会」を誕生させ、スポーツに大切な見る機能として「フィジカル」「メンタル」に続く第3のスポーツ科学と位置付け重要視されている見また、近年ではさらに「スポーツビジョン」の研究が進み、スポーツビジョン研究会が中心となって各競技種目の視機能に関する測定を実施している 9)。その中でも特に、野球、卓球などについてはプロ野球選手やオリンピック選手などの一流競技者を対象として、動体視力と競技パフォーマンスならびにポジションなどの関係が明らかにされつつある 4)8)10)。スポーツに必要な視機能については、静止視力、動体視力、深視力が代表的な視機能とされている 7)16)。動体視力には目の前を横に移動する目標を見るときの横方向動体視力(DVA:以下DVAとする)と前方からまっすぐ自分のほうに向かって近づいてくる目標を見る時の動体視力(KVA:以下動体視力とする)の2種類があり、わが国では後者の動体視力を一般的に動体視力としている。そして、スポーツにおける動体視力の役割は、自分のほうに飛んでくるボールがはっきり見えるときに必要な視機能といわれている 16)。また、深視力は、両眼による立体視機能の程度をあらわしたものとされており 4)、対象物との前後の位置関係や距離がわかるために必要な機能とされている 16)。特に深視力はスポーツの中では野球選手がフライを捕ろうとするとき、テニスでスマッシュを打とうとするとき、また、球技などではゴールなどの距離感や動いているボールと選手の位置などを把握する力とされている2)。また、これらの視機能とスポツの関係については、わが国のスポーツビジョン研究会がスポーツビジョンの評価基準を作成しており、スポーツにかかわる視機能の評価基準ということで動体視力の評価基準を5段階の相対評価で、5:1.1以上、4:~0.9、3:~0.6、2:~0.4、1:0.4未満としている 16)。また、深視力(mm)についても5段階の相対評価で、5:5以下、4:~8、3:~12、2:~17、1:18以上としており 16)、わが国におげるスホーツに対する視機能を見る時の基準となっている。ハンドボール選手の視力については、上野ら 19) は体育系大学生の運動部員別の静止視力の測定の中でハンドボール選手を扱っているが、スポーツビジョンという点から検討がされていない。また、阿部ら 1) が競技力に差があるハンドボールのゴールキーパーを対象にアイカメラを用いてゴールキーパーの注視点や視線について検討を行い、競技力の高い者の方が正確に注視できていたとしているが、動体視力などについての検討までにはいたっていない。このように、ハンドボール選手の運動に関わる視機能に関する研究はこれらの報告の他に見あたらない。さらに、スポーツビジョン研究会やAOA(America Optometic Association)の様々なスポーツ競技における視機能の重要性についてもハンドボールについて明確な表現はされていなく、ハンドボール選手のスポーツビジョンの実態が明かにされていない現状にある。そこで、他のスポーツ種目の先行研究の中から動体視力を中心とした視機能と野球や卓球などの球技スポーツの競技レベルとの関連は明かになってきた今、同じ球技系スポーツであるハンドボールについてを検討することは、ハンドボールをコーチングする指導者にとって大変意味あるものと考えられる。そこで本研究では、体育系大学でハンドホール部に所属して専門的なトレーニングを積んでいる男子選手を被験者として、視機能(静止視カ・動体視カ・深視力)と競技レベルとの関連性について検討することを目的とした。
[ABSTRACT] The purpose of this study was to determine whether there was any significant relationship between visual functions and other factors like athletic capability. Sample subjects were male college handball players. A series of tests designed to measure their visual functions was conducted. The measurement of visual functions were static vision, dynamic vision and depth perception. Main findings were as follows: 1) Significant difference was found in static,: vision and dynamic vision between the different athletic capabilities. 2) No significant difference was found in depth perception between the different athletic capabilities. However, the high performers appeared to have the best depth perception. It was guessed that there were athletic capability of the handball and an effect with visual functions from these.
収録刊行物
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- 千葉体育学研究 = Chiba Journal of Physical Education
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千葉体育学研究 = Chiba Journal of Physical Education 26 15-20, 2002-03-25
千葉県体育学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1050288547195180416
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- NII論文ID
- 120007087602
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- NII書誌ID
- AN00241194
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- ISSN
- 09138137
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- journal article
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- データソース種別
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- IRDB
- CiNii Articles