George F. Kennan’s American Diplomacy: 1900─ 1950 and the Evolution of Containment Policy

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  • ジョージ・F・ケナン『アメリカ外交50年』と封じ込め政策の展開

Description

本稿の目的は、冷戦期封じ込めの提唱者として名高いジョージ・ケナンの最初の著作である『アメリカ外交50年』を、この書物の中核をなすシカゴ大学講義がなされた一九五一年春のアメリカの政治・外交・社会の文脈に置き、ケナンの議論を検討することである。  ケナンは、朝鮮戦争をめぐり政府の限定化方針を非難し、戦争の拡大を主張したマッカーサー将軍の解任、狭隘な反共主義(マッカーシズム)の跋扈、「原爆スパイ」として逮捕されたローゼンバーグ夫妻に対する死刑判決など一九五一年春の騒然たる国内外の状況のなか、アメリカが封じ込めの一線を越え、中ソとの戦争を選ぶ事態を恐れた。彼は過去五〇年のアメリカ外交の考察を通し、普遍的な原則を掲げる外交原理、世論・議会に強い影響を受ける民主的政治体制、外交に通暁しない政治家の台頭、熟慮なしに軍事的手段に訴える傾向、安易な海外コミットメントを批判し、最も重大な過ちとして国際問題に対する法律家的・道徳家的アプローチをあげた。  ケナンの洞察は時代を超えたアメリカ外交の特質・特性を明らかにしており、『アメリカ外交50年』はアメリカ外交論の古典として確たる地位を得ている。

Journal

  • 法学新報

    法学新報 123 (7), 279-303, 2017-01-16

    法学新報編集委員会

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