ケインズの「戦費調達論」が国民経済計算体系に与えた影響

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タイトル別名
  • Keynes’ How to Pay for the War as an Origin of National Accounting
  • ケインズ ノ 「 センピ チョウタツロン 」 ガ コクミン ケイザイ ケイサン タイケイ ニ アタエタ エイキョウ

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抄録

一国経済の現状を数値で客観的に把握するための勘定体系として,国民経済計算体系(A System of National Accounts; SNA)という国際基準が,第二次世界大戦前後から国連を中心に作成されてきた.草創期にこの体系の発展に多大な貢献をしたのが,1947 暫定版SNA,1953SNA,1968SNA の監修者を務めた英国の経済学者リチャード・ストーンである.ストーンは1984 年にノーベル経済学賞を受賞しているが,「国民経済計算の開発への根本的な貢献」が授賞理由の1つにもなっている.このストーンが国民経済計算に関わるようになった背景には,ジョン・メイナード・ケインズが,物価上昇を回避して如何に戦費調達を行うかを論じた,1940 年の小冊子「戦費調達論(How to pay for the war)」の存在がある.同著には,一国の最大生産可能量,固定資本減耗,生産と移転の区別等,後の国民経済計算体系に影響を与えたと思われる考えが数多く記されている.そこで本稿では,ケインズが「戦費調達論」の中で,国民所得勘定をどういう目的でどの様に活用したのかを,Keynes(1939, 1940)を基に改めて振り返りながら,国民経済計算体系との関係を考察する.

収録刊行物

  • 経済学季報

    経済学季報 71 (2), 59-77, 2021-10-22

    立正大学経済学会

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