不安定狭心症に対し Impella® 補助下に Rotablator を使用し, 一期的に 2 枝へ stent-less PCI を実施した担癌患者の一例
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説明
症例は 70 歳代男性.脳梗塞で前医入院中のリハビリテーションにて胸部絞扼感が出現した. 冠動脈造影検査 (CAG)で左冠動脈主幹部 (LMT)から左前下行枝 (LAD)近位部の高度石灰化を伴う狭窄病変が責任病変の不安定狭心症と診断された.右冠動脈(RCA)近位部にも高度石灰化を伴う高度狭窄病変があり,冠動脈バイパス術 (CABG)の適応と判断され当院に転院となった. しかしながら,術前胸部 CT で胸水を伴う腫瘍性病変をみとめた.ハートチームでの協議の結果,経皮的冠動脈形成術(PCI)による血行再建を選択した.標的病変の 2 枝とも高度石灰化を伴っており,また腫瘍性病変の精査加療を迅速に行うため,大径の Rotablator を用いた lesion debulking による stent-less PCI が妥当と判断し,左室補助デバイスである Impella® 補助下にPCI を実施し,合併症なく第 8 病日に独歩退院となった.Impella® を補助循環として使用することで,術中の循環動態の破綻を回避しつつ,重症冠動脈病変に対し血行再建を完遂し,術後合併症なく経過し得た一例を経験した.高齢化に伴い,High-risk PCI の増加が予想され,Impella® はその際の有効な補助循環装置になると考えられる.
収録刊行物
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- 京都第一赤十字病院医学雑誌
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京都第一赤十字病院医学雑誌 3 (1), 27-34, 2020-12-01
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1050291115085514496
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- NII論文ID
- 120007189956
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- journal article
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- データソース種別
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- IRDB
- CiNii Articles