鍼灸療法の受療率に関する調査研究-鍼灸の単独療法と按摩・マッサージ・指圧を含む複合療法(三療)との比較-

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  • The rate of patients undergoing acupuncture and moxibustion—comparison between the rate of treatment with acupuncture and moxibustion and that of treatment with acupuncture, moxibustion, and Anma-Massage-Shiatsu—

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抄録

【目的】鍼灸単独の受療率と,鍼または灸の一方もしくは両方に按摩・マッサージ・指圧を複合した療法(三療)の受療率を推計し,国民の施術形態に対するニーズを明らかにするとともに,鍼灸療法の受療状況を把握する.【方法】全国の満20歳以上の男女から層化副次(二段)無作為抽出法により抽出した2,000人を対象として鍼灸等の受療状況に関するアンケート調査を行った.調査期間は,2009年12月1日からの2週間,調査員の個別訪問聴取法により実施した.【結果】1,362人(68.1%)から回答を得た.おおよそ2009年1年間に何らかの形態で鍼灸療法を1度でも受けた者の割合(年間受療率)は9.5%,調査日直近の1ヵ月の月間受療者に限ると2.2%であった.一方,鍼灸単独療法の年間受療率は3.6%,月間受療率は0.8%であり,年間では三療のみの受療率(2.9%)を上回ったが月間では三療のみの1.0%より0.2ポイント下回った.更に年内の受療経験者の受療回数(中央値)を見ると,鍼灸単独が2回,三療が4回,按摩単独が3回で鍼灸単独の頻度が低い傾向であった.月間受療者における過去1ヵ月間の受療回数(中央値)においても,2回,4回,3回(同順)で同様の傾向を認めた.【考察・結論】鍼灸に係る施術所やサービスの供給量が急増する中で,鍼灸療法の年間受療率は増加傾向にあるものの,月間受療率は低迷ないし減少傾向にあった.これらのことから,短期間における就業鍼灸師及び鍼灸施術所の急増が鍼灸の需要喚起に必ずしも結びついていない可能性が高いと考えられた.すなわち鍼灸に係るサービス量が,需要に対して供給過多に陥りつつある状況が示唆された.(著者抄録)

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