当科で関節結節削除術を施行した顎関節脱臼12症例の検討

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タイトル別名
  • A STUDY OF EMINECTOMY FOR 12 CASES WITH MANDIBULAR DISLOCATION IN OUR HOSPITAL

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抄録

顎関節脱臼に対する治療報告として関節結節削除術は習慣性,陳旧性顎関節脱臼に有用と報告されている.しかし関節結節削除術の合併症に関する報告は少ない.本研究の目的は関節結節削除術の合併症や問題点について検討することである.対象は2012年から2020年までに関節結節削除術を施行した12症例である.12症例中11症例は認知症,パーキンソン病,脳血管疾患,心疾患などを有する患者であった. 3 例は発病後 2 週以上経過し,外来での徒手整復が困難な陳旧性症例であった.12例中11例は関節結節削除術単独での処置, 1 例は関節結節削除術に下顎頭切除を追加した.関節結節削除術を施行した患者はすべての症例で再脱臼を認めていない.合併症として, 2 例は術後感染し,1 例は顔面神経麻痺を生じたが 3 ヶ月で完治した.関節結節削除術は最小限の外科的侵襲で有用性があり,自己整復が困難な症例や習慣性顎関節脱臼症例に信頼がおける方法であるはあるが,患者の基礎疾患やADLなどを考慮して感染制御を十分に行わなければならない.

収録刊行物

  • 横浜医学

    横浜医学 73 (1), 1-6, 2022-04-30

    横浜市立大学医学会

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