漢字でたどる日本文化

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タイトル別名
  • Research on Kanji(Chinese characters)to Elucidate Japanese Culture
  • カンジ デ タドル ニホン ブンカ

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説明

漢字が中国大陸から日本列島に伝わってほぼ二〇〇〇年を経た。ことばを記録する正規の文字―真名(まな)―として、またそれ以上に、優れた文化体系を伝える概念の集合として智慧の宝庫として、日本という国の誕生、形成、変貌、或は再生を促す原動力となってきた。「日本」という国の名は、「ニホン」又は「ニッポン」が「日本」と表記されたのではなく、漢字によってもたらされた文化を踏まえて漢字で命名されたものである。そして「日本」という漢字によって命名された国名を、漢字本来の発音をまねて「ニホン」又は「ニッポン」と呼んだのである。 漢字の音読には呉音、漢音、唐音の三種ある。それぞれに漢字の表す概念を学び、導入した際の状況が反映している。まだ定説を見ない部分も多いが、呉音は六世紀以前に朝鮮半島から、漢音は七世紀の遣隋・遣唐使が直接中国の王朝から、唐音は一〇世紀以降主に僧侶が中国の仏教寺院からもたらした。同じ一つの漢字に三種の読みがあるのは、中国の異なる時代で変化した同じ漢字の三つの概念やものを導入したということである。そして一五〇年ほど前、明治維新の際、漢字には、中国人の与り知らぬ西洋語の意味、概念が加わり、中国にも輸出された。漢字は、日本の歴史の節目節目に違う姿をもって現れる。 本稿は、古代における漢字漢語の受容、中世、近代におけるその変容から「日本文化とは何か?」を解明しようとするものである。

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