“Shuchusho” and Leishu

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  • 『袖中抄』と類書

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顕昭『袖中抄』二十巻は一種の歌語辞典というべき書で、成立は文治年間(一一八五~一一八九)ごろと推される。和漢にわたる博引旁証ぶりが知られるけれど、類書からの孫引きも多い。小論は顕昭が利用した類書を明らかにしようとするものである。調査の結果、かれは『白氏六帖事類集』三十巻と、『修文殿御覧』三百六十巻とを併用したとの結論にいたった。両類書とも顕昭の家蔵本とは考えられず、守覚法親王の蔵書を借覧した蓋然性がたかい。守覚は仁和寺第六代御室をつとめた貴人、顕昭はそのサロンの一員であった。当時は中国では南宋の前半にあたる。南宋は江南の豊かな経済を背景に印刷出版が拡大した時代である。ただ守覚の蔵した『白氏六帖』は刊本化以前の鈔本であったらしく、また『修文殿御覧』は奈良時代から利用されてきた旧来の類書である。これは南宋の出版文化の日本流入が漸次的であり、当時はなおその途上であった一証と考えられる。

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