F. ブレンデルの「楽派」概念:音楽史と音楽批評の接点としての「新ドイツ派」

Bibliographic Information

Other Title
  • F. Brendels Schule-Begriff: Die neu-deutsche „Schule“ am Schnittpunkt von Musikgeschichte und Musikkritik

Search this article

Description

本研究は、「楽派」の概念史の構築に向けた一節として、ブレンデル Franz Brendel(1811-1868)が1859年に提唱した「新ドイツ派」を中心に、19世紀中盤の音楽史記述における「楽派」概念を考察する。ブレンデルは音楽批評家としてリスト、ヴァーグナー、ベルリオーズらの音楽を「新ドイツ派」と呼んで擁護し、音楽史家としては、18世紀末以降の先行研究を踏まえて『音楽の歴史』(1852初版)を著した。その歴史観にはキーゼヴェッター Raphael Georg Kiesewetter(1773-1850)の影響が色濃い。本稿では、「新ドイツ派」を巡る雑誌記事と、「新ドイツ」という形容詞の歴史的・文化的含意を参照し、ブレンデルの「楽派」概念を検討した。そして、キーゼヴェッターが批判した「楽派」概念、すなわち都市や地域の様式の対比関係を表しつつナショナリズムを音楽史に呼び込む装置とは異なり、みずから様式を選択する能動的な音楽家集団の性格をもつことを明らかにした。

Journal

Related Projects

See more

Details 詳細情報について

Report a problem

Back to top