伝送工学的意味での幾何学的情報処理について

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抄録

情報処理といった場合,それは人間の為の情報処理であり,又その方法には,主に人間自身によること(生物的立場も含めて)と,主に人工的な(言語系をも含めた)ものによることとがある。なお情報処理の本体は人間自身であり,人工系を含めて他は,その補完体である。しかし人間の情報処理は,その補完体の存在の有無,能力によって決定的ともいえる影響を受ける。従ってその補完体こそ,情報処理の主体と云ってもよいだろう。人間は何を,如何ように情報処理するのであろうか,どういう問題があって,どのように処理できるのであろうか。我々は情報及び,その処理の場を,空間として考え,これには並列的,視覚情報空間としての絵画空間や,直列的な言語情報空間や,時系列としての聴覚情報空間が含まれる。そして空間の内のパタン,あるいは姿態として,情報及び,その処理を考えて行くことになる。今までに進化してきた人工情報処理系は電気的素子(本質的には単体,集合体ともに分布定数:線路系である)回路系である。これは典型的物理回路であるから,これに流通する,又はこれによって伝送されるものは,物理的言語として,即ち代数系のような論理系として,又は描画・グラフのような幾何学系として,とらえられている。ここで問題は,絵画系,音楽系といった典型的情報系における,創造形成,感受鑑賞,演奏演出等のパーフォーマスを,どのような回路で,どのような用い方でと,考えたら良いかということである。ここで大事なことは,いかな複雑多様な事態でも,基本的機能,形態の細胞的素子の集合体であるということ,又は多重体(種々のモードの)であり得ることである。今回は,このようなことから,情報及び,その処理系を,その基本が,伝送工学,特に分布定数(線路)系であるという立場と,その幾何学的観点から考えて見た。そして音楽系のよな典型的分布定数系の問題の処理の基礎的準備をし,音楽的意識回路(創作,演奏,鑑賞)の問題にも対応できるようにすることをも目的とした。

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