多項式曲面の縮退法線ベクトル探索法

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  • Degenerate Normal Vector Detection on Polynomial Surfaces

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抄録

曲面データの利用にあたって, 法線ベクトルは非常に大きな意味を持っている. 陰影画表示のための輝度計算, 曲面間の交線計算, オフセット曲面の算出など, 殆んどすべての応用において法線ベクトルが必要となる. 一方, CADを始めとする形状モデリングの応用においては, ベジエ曲面やB-スブライン曲面などのテンソル積形式の曲面が主に利用されている. このテンソル積曲面S(u, v)上の法線ベクトルN(u, v)は, 通常, 外積を用いて次のように計算される. N(u, v)=S_u(u, v)×S_v(u, v) (1) ここで, S_u(u, v)とS_v(u, v)は, 曲面S(u, v)のuとvの1階導関数で, u, v方向の接ベクトルである. (1)式によって計算される法線ベクトルが零ベクトルとなるものを縮退法線ベクトルと呼ぶ. 法線ベクトルは, 一般に正規化して単位ベクトルの形式で用いられるため, 縮退法線ベクトルは場合によって異常終了にもつながりかねない. したがって, 曲面上の縮退法線ベクトルの有無は, 非常に重要な間題である. (1)式より, 縮退法線ベクトルは以下のいずれかの場合に生じることは明らかである. 1. 零接ベクトル. Su(u, v)=Oかつ/または Su(u, v)=O 2. 平行接ベクトル. S_u(u, v)=λS_u(u, v)ただしλ≠O Farinは, これら場合を図1の例を用いて説明している[1]. 上の縮退三角形パッチでは, 四辺形境界の1辺が1点に縮退しており, その辺上の接ベクトルは大きさが零となる. したがって, この辺上ではの零接ベクトルによって, 法線ベクトルが縮退する. 下の図に示した角の丸いパッチでは, 四隅の制御点とそれらに隣接する2つの制御点, たとえば図のP_6lt;20%gt;, P_<30>, P_<31>の3点, が共線にある. この結果, 四隅では平行接ベクトルによって, 法線ベクトルが縮退する. これらの曲面は, 三角形のバッチを作るために, 実用的にもしばしば用いられる. Kimらは, 平行接ベクトルによる縮退法線ベクトルがパッチの内部にも現れることを示した[2]. さらに, Aumannらは零接ベクトルによる縮退法線ベクトルがパッチ内部に生じうることを示した[3]. このように縮退法線ベクトルは, 曲面パッチの様々な箇所に存在しうることが知られているが, すべての縮退法線ベクトルを統一的に見つける方法は示されていない[3]. そこで本研究では, 多項式テンソル積曲面において続退法線ベクトルの有無を判定することを目的とし, 縮退法線ベクトルの探索法を提案する.

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