自閉症スペクトラム障害児における他者への同一化と自己存在に関する不安の軽減 -フラッシュバックからの自己形成過程と他者との関係性の形成による支援-

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タイトル別名
  • The Identification to the Others and Uneasy Relief about Self-existence in a child with Autistic Spectrum Disorder -The Self-formation Process from a Flashback and Support by the Relationship of the Others-

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抄録

現在、社会に適応するためのスキルトレーニングは重要な支援法として発展を見せているが、スキルを身に着けて必死に社会で適応することが可能になったとしても、その努力をすることの苦しさ、自分自身が、今ある自分自身について理解することの苦しさ、自分の特性を「どのように受け止めて生きるか」という自分自身への問いへの支援が必要である。そのような自分自身の障害と「どのようにつきあっていくか」という根本的な心理的混乱の軽減に結び付く「自己同一性の発達的課題」に対する支援アプローチは極めて少ないのが現状である。そこで本研究では、11歳の時の学校での外傷体験をフラッシュバックした男児が、14歳になり理想の自分の姿を「あの世」に求めて、「あの世」で現実のお気に入りの重要な他者と同一化することを願い続ける事例を通して、<私>としての自己のなりたちの過程、支援のかたちを検討した。そして発達の程度に関わらず、現実との違和感を感じる自閉症スペクトラム障害者における他者との同一化は、彼らの漠然とした不安を解消し安心、安全を得ようとする行為として考えられることから、その個々に異なる自己像を形成する行為への理解と支援の必要性が示唆された。

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