激動中国:その24 中国全国炭素排出量取引制度の実施とその意義:その1

抄録

2021年7月16日、中国全国炭素排出量取引制度(ETS)のオンライン取引が正式にスタートした。全国ETSが導入できた背景には、中国政府が2013年から9つの地域・都市を対象に、順次、展開してきたパイロットETS事業(政府公認は7つ)のノウハウがある。図にある通り、当初2017年までに全国ETSを導入する計画であったが、4年遅れてついに始動した。 全国ETSの初期の制度対象は、発電・熱供給事業者や自家発電設備を保有する他の事業者(医薬、石油化学、金属製造、化学繊維、食品製造、製紙など)などの内、2013-2019年の任意1年間の温室効果ガス(二酸化炭素)の排出量が26,000tCO2e以上の2162事業者(2022年時点)である。対象事業者らによる合計排出量は45億t前後(2022年時点)であり(規制排出量)、中国全体CO2排出量の4割前後を占める。これは、2005年からスタートしたEU-ETSの規制排出量20億tのおよそ2倍に相当し、現時点における世界最大規模のETSとなった。

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