特異な材色を呈するクワの自然突然変異体「赤材桑」の飼料効率に関する検討

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  • Nutritional assessment of leaves from 'Sekizaisou', the natural mulberry mutant with unusual red-colored wood, as silkworm feed
  • トクイ ナ ザイショク オ テイスル クワ ノ シゼン トツゼン ヘンイタイ 「 セキザイ クワ 」 ノ シリョウ コウリツ ニ カンスル ケントウ

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抄録

「赤材桑」は大正元年頃に奥尻島で発見されたクワの野生株由来とされ,現在は農研機構ジーンバンクに在来品種として登録されている。「赤材桑」の葉がカイコの成長や繭質の改善に効果があるとした吉村・齋藤(1924)の報告の真偽を確かめるため,2度の飼育試験によりその飼料価値を評価した。その結果,対照とした育成品種「しんいちのせ」との比較において,残念ながら「赤材桑」に特段の成長促進や繭質改善の効果は認められなかった。しかし,統計解析を伴う再検証が必要ではあるものの,消化された桑葉乾物の繭層および蛹体への留存率は試験に用いたカイコの性を問わず「赤材桑」の方が「しんいちのせ」より高く,また過去に報告された「しんいちのせ」の親品種である「一ノ瀬」の場合よりも高い値を示した。これらのことより,飼料の利用効率の観点からは「赤材桑」に一定の潜在価値があることが伺える。人工交配により「赤材桑」の準近交系統を複数作出した上で,木材が赤く変色する形質と葉の飼料効率との関係について更に詳しく調査することが必要であろう。

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