多雪山地立山松尾峠のオオシラビソ林における積雪下の地表面温度環境

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タイトル別名
  • Ground surface temperature environment under snow cover in the subalpine coniferous forest at Matsuo pass, Mt. Tateyama, a heavy snowy mountain in central Japan
  • タセツ サンチ タテヤマ マツオトウゲ ノ オオシラビソリン ニ オケル セキセツ カ ノ チヒョウメン オンド カンキョウ

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抄録

多雪山地の立山松尾峠の亜高山帯針葉樹林において地表面およびマウンド上の温度の観測を16冬季にわたり1時間間隔で行い,積雪下における温度環境の特性を明らかにした。温度の状態をA(気温随伴変動大),B(氷点下変動小),C(氷点以上変動小),D(氷点一定)の4タイプに区分した。積雪日数(B~D出現時間合計)は最短が185日,最長が251日,平均は224日であった。各タイプの平均出現時間はBが5日,Cが12日,Dが208日で,BとCは積雪初期にわずかに出現しただけで,Dが積雪期間のほとんどを占めた。根雪前に氷点下になることが少なく,根雪時の温度が高い場合にBの出現が少なく,Cの出現が多い傾向がみられ,地温が低下する前に根雪になったことがCの出現とBの少なさをもたらしたと考えられる。温度条件Bでは雪腐れ病の蔓延を回避できるが,CおよびDでは回避できないと考えられ,Bがほとんど出現しないことは非常に長い積雪期間を通して針葉樹の実生が菌害のリスクにさらされることを意味している。このことは,立山の亜高山帯林においてオオシラビソが圧倒的に優勢な樹種構成が成立したことの一因である可能性がある。

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