バルク乳中体細胞数生産量上位牛の疫学を基にした乳房炎予防対策

書誌事項

タイトル別名
  • Improving of bulk tank milk quality based on epidemiology of cows with high producing somatic cell counts
  • バルクニュウチュウ タイサイボウスウ セイサンリョウ ジョウイギュウ ノ エキガク オ モト ニ シタ ニュウボウエン ヨボウ タイサク

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抄録

バルク乳中体細胞数を管理するには,バルククーラーに出荷する生乳の体細胞数を制御しなければいけない。2014年1月から12月まで期間,酪農家23戸の1年間の牛群検定データを解析した。解析区分を,大規模酪農家(検定頭数101頭以上)9戸(延べ頭数24,784頭),中規模酪農家(検定頭数51~100頭)7戸(同6,024頭),小規模酪農家(検定頭数50頭以下)7戸(同3,337頭)の3群とした。体細胞数50万個/ml及び100万個/ml以上の頭数割合は,3群共に加重平均体細胞数と正の強い相関があり,規模が大きくなるほど正の相関関係は強くなった。これよりバルク乳中体細胞数を制御するためには,体細胞数50万個/ml及び100万個/ml以上の頭数割合は管理項目となる事が判った。検定時バルク乳中体細胞数の高低によらず,3群共に体細胞数生産量上位10%,20%,30%を構成する頭数割合は一定であり,約5%以下の牛がバルク乳中体細胞数の30%を生産していた。牛群規模により体細胞数生産量上位30%の牛には特徴があり,産次数,乳量,分娩後日数,体細胞数,体細胞数生産率に有意な差(P<0.01)が見られた。しかし,体細胞数生産量上位30%の牛は3群共に60%が毎月入れ替わっていた。体細胞数を多く生産する牛は,毎月新たな牛であり酪農家毎に特徴がある。この特徴を把握して対象牛を特定し,乾乳期を含めた乳房炎予防対策によってバルク乳中の体細胞数を管理することが重要である。

収録刊行物

  • 家畜衛生学雑誌

    家畜衛生学雑誌 46 (2), 73-80, 2020-10

    武蔵野 : 日本家畜衛生学会

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