スモモジャムを対象とした賞味期限設定に関する検討

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タイトル別名
  • Study on setting method of best-before date for plum jam
  • スモモジャム オ タイショウ ト シタ ショウミ キゲン セッテイ ニ カンスル ケントウ

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抄録

低糖度のスモモジャムを,常温に相当する24℃で保存し,微生物試験,理化学試験および官能評価試験を実施して,その結果を基に賞味期限期間の設定を行った。また,加速試験を想定した高温の34℃および44℃でもジャムを保存し,理化学試険および官能評価試験結果から,アレニウスの式を導き,賞味期限期間を予測する方法について検討を行った。その結果,以下の知見が得られた。1.微生物試験により,ジャムに微生物による変敗がないことを確認した。したがって,的確な殺菌処理がなされた場合,微生物試験結果は賞味期限設定の指標にはならないと考えられた。2.理化学試験として測定した糖度,pHおよび水分活性の結果は保存中いずれの保存温度でも大きな変化はなかったが,色彩値(色差)は保存期間および温度に依存して変化した。3.官能評価試験の総合評価点は,いずれの保存温度においても直線的に低下し,その温度が高いほど評価点の低下が著しかった。4.保存中に変化が認められた色差および官能評価試験の総合評価点は賞味期限設定の指標になることが明らかになった。それぞれの結果を基にスモモジャムの賞味期限期間を算出したところ,色差では140.2日間,官能評価試験の総合評価点では87.3日間であった。後者から得られた期間の方が短かったため,これを採用し,さらに安全係数を乗じて,スモモジャムの賞味期限期間を69日間と決定した。5.色差は1次反応に相当する変化を示したが,アレニウスの式のみでは経時変化式を予測することはできなかった。一方,官能評価試験の総合評価点の変化は0次反応に相当した。各保存温度における総合評価点の経時変化式からアレニウスの式を導き,賞味期限期間を推定したところ,実測値と近似した結果が得られた。

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