麹菌菌種の違いが芋焼酎の香味形成に及ぼす影響(2) : 香気成分と官能評価での差異
書誌事項
- タイトル別名
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- Effect of the koji variety of Aspergillus species on the flavor formation of imo-shochu (Part 2) : Difference in volatile compounds and sensory evaluations of imo-shochu
- 麴菌菌種の違いが芋焼酎の香味形成に及ぼす影響(第2報)香気成分と官能評価での差異
- コウジキン キンシュ ノ チガイ ガ イモジョウチュウ ノ コウミ ケイセイ ニ オヨボス エイキョウ(ダイ2ホウ)コウキ セイブン ト カンノウ ヒョウカ デ ノ サイ
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説明
芋焼酎の製造に用いられている,黄麹,白麹,黒麹を用いて,麹以外はすべて同一条件で行い,芋焼酎における麹が違うことで生じる香気成分及び官能評価の差異を検討した。GC-MSによる香気成分は,黄麹製では一般的な芋焼酎香気成分を基本として,高級アルコールおよび酢酸エチルエステル,含硫化合物含量が高かった。白麹および黒麹製は類似した傾向を示している中で,黄麹製よりもアルデヒド類,テルペン類が多かった。白麹製と黒麹製の比較では全体的に白麹製のエステル類の香気成分濃度が高かった。その中で,DL-2-メチル酪酸エチルが黒麹製と比較して大きな差異のある成分であった。黒麹製は低級脂肪酸エステル類の濃度が白麹製よりも低く,中鎖脂肪酸エチルエステルでは同等であり,サリチル酸メチルの濃度が白麹製と大きく異なっていた。また,黒麹製では白麹製と比較して,1-オクテン-3-オールが高い結果となった。1-オクテン-3-オール濃度の麹での差異および全麹仕込みによる白麹および黒麹製の差異から,黒麹菌由来のひとつの特徴であると考えられた。芋焼酎における白麹製と黒麹製の香気成分はこれらの濃淡,重厚さに関与する成分によって違いが生み出されていることが明らかとなった。官能評価では,黄麹製の香りは華やか,麹の香り,焼菓子,草やハーブ様と指摘された。白麹および黒麹製は,共通して果実様,ロースト,ナッツ様といったコメントが多かった。白麹製は軽快,シャープのコメントがあり,黒麹製はオイリー,まろやか,クリーム等のコメントが特徴的であった。味のコメントは香りと類似した傾向を示し,白麹製ではドライ,バランスといったコメントがみられるのに対し,黒麹製では芳醇,重厚といったコメントが得られた。どの焼酎がどの麹を用いたものであるかのブラインドテストにおいても概ね利き分けが出来ていることが認められた。これまで,酒質に与える麹の影響については経験的に述べられてきたが,本研究により,麹の違いによる芋焼酎の香味の特徴的な表現が明らかとなった。
収録刊行物
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- 日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan
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日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan 116 (1), 49-58, 2021-01
東京 : 日本醸造協会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1050293191191810432
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- NII論文ID
- 40022471806
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- NII書誌ID
- AN10034389
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- ISSN
- 09147314
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- NDL書誌ID
- 031258045
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- journal article
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- データソース種別
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- IRDB
- NDLサーチ
- CiNii Articles
- KAKEN