一採卵用種鶏場に発生した鶏白内障の病理組織学的検索

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タイトル別名
  • Pathological studies of chicken cataracts in a farm of layer breeder flocks

抄録

岩手県の一採卵用種鶏場で飼育されていた銘柄と日齢の異なる5つの採卵用種鶏群に発生した白内障の病理組織学的特徴について報告した。これらのうち120~462日齢の採卵用種鶏9羽の眼球を病理組織学に検索した。水晶体上皮細胞はほとんどの個体で顆粒状化または膨化していた。全個体の両側水晶体皮質の水晶体線維では,軽度~重度の膨化,空胞化,顆粒状化が認められ,進行したものでは液化していた。Morgagnian globuleも散見された。水晶体皮質の変性が重度である個体に一致して,水晶体核の変性も認められた。これらの個体では,虹彩および毛様体で比較的重度の炎症性細胞浸潤が認められた。一方,水晶体上皮の変性は軽度~中等度であった。このことから,本症例は皮質白内障に分類され,水晶体上皮細胞の変性は白内障の初期病変であると考えられた。また,虹彩毛様体炎の重症度は白内障の組織学的進行度合いの判断基準となる可能性が示唆された。

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