優位半球頭頂葉に主座を置くhigh grade glioma,標準治療後の緩和ケアにおける致死的全身合併症に関する2症例の検討

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タイトル別名
  • Analysis of the systemic fatal complications of the cases those suffering the high grade glioma locating in the on the parietal lobe of the dominant hemisphere, two case study
  • ユウイ ハンキュウ トウチョウ ヨウ ニ シュザ オ オク high grade glioma,ヒョウジュン チリョウ ゴ ノ カンワ ケア ニ オケル チシテキ ゼンシン ガッペイショウ ニ カンスル 2 ショウレイ ノ ケントウ

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抄録

脳腫瘍は,例え,病理学的に良性であったとしても,発生母地となる局在によって,生命あるいは,神経学的に予後不良となる場合が,しばしば認められる。更に,組織型が,神経膠腫(glioma)の場合,high gradeはもちろん,当初,low gradeであっても,経過中に悪性転化を繰り返し,最終的にはhigh grade glioma(以下HGG)となって,致死的となる場合が少なくない。脳実質から発生するgliomaの場合,画像で認められる脳との境界線よりも外側の,一見,正常と思われる脳実質にも,腫瘍細胞は浸潤しており,神経学的な脱落症状を最小限に抑えなければならいという制約もあるため,腫瘍組織を全摘出することは,事実上,不可能である。したがって,gliomaの局在が生命中枢である脳幹や言語中枢(言葉の理解,発話),計算,論理的思考,運動中枢を司る優位半球(通常は左側),に認められる場合は,摘出術はさらに困難を極め,特に,後者の場合,術後,高度の右片麻痺および全失語となることが,予想されるため,患者本人およびその家族は,摘出術を受ける躊躇うケースが,しばしば,認められる。症例の中には,術後の神経学的脱落症状を考慮し,当初より,摘出術を含む標準治療を拒否するもの(症例1)や標準治療後,高度の神経学的脱落症状を呈し,緩和ケアに回ってくるケースなど(症例2),対応に苦慮する場合がしばしば,認められる。いずれの症例も,緩和ケアにおいては,治療に関して,集学的な内容を希望せず,敢えて,高カロリー輸液(central venous hyperalimentation)も避けて,末梢血管からの輸液のみを行う場合が,しばしば,ありえる。その際に,事前に,ある程度,想定はしていても,いきなりの発症をみる注意すべき全身的合併症を経験することも,しばしばである。著者らは,緩和ケアとはいえ,一人の人間である患者が,苦痛を回避するだけでなく,安寧と尊厳を持って,最期を迎えらえるよう,尽力すべきことを,教訓として得た.

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