液胞膜プロトンポンプ:高分子合成の副産物を利用するエネルギー変換酵素

書誌事項

タイトル別名
  • Vacuolar proton pump: an energy-transducing enzyme that utilizes

抄録

type:総説

細胞を構築する細胞膜や細胞内小器官の膜には物質の膜輸送を支える様々なタンパク質が配置され,特異性の高い機能を果たしている.この解説では,植物の液胞膜に局在し,細胞質のピロリン酸(PPi)を加水分解すると共に細胞質のプロトン(H+)を液胞内に能動輸送する酵素 H+-ピロホスファターゼ(H+-PPase)を取り上げる. PPiはアデノシン三リン酸(ATP)と同じ高エネルギーリン酸化合物であり,主に ATP を利用する高分子合成の反応で副産物として生成する. PPi の蓄積はタンパク質やセルロースなどの高分子合成の反応を化学平衡論的に抑制するので,消去する必要がある. H+-PPase は, いわば「燃えるゴミ」であるPPi を活用する循環型エネルギー変換酵素といえる. これまでライフワークの一つとして取り組んできた「 H+-PPase 分子をていねいに見る, H+-PPase から細胞を理解する」を通して, 植物細胞の再生可能な営みを解説したい.

The membranes of the plasma membrane and intracellular organelles that form cells

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ