Mg,Ca及びZnのヒトアルカリ性ホスファターゼ活性に対する作用

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  • Effects of Mg, Ca, and Zn on human alkaline phosphatase activity

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ヒトには遺伝子型の異なる4 種に加えて糖鎖による修飾が異なる多数のアルカリ性ホスファターゼ(ALP)アイソザイムが存在するが,骨型ALPのピロリン酸及び小腸型ALPのピリドキサルリン酸を除いて生理的な基質と機能に関しては不明な点が多く,また活性の至適pHがアルカリ性である意味も不明である. ヒト胎盤型ALPの結晶構造解析の結果からヒトのALPには1 サブユニットあたり1 Mg及びCaと2 Znの結合部位の存在が示されたが,ALP活性における各イオンの機能については報告が少ない.そこで,ヒトALPアイソザイムに対する各イオンの作用を比較することにより,アイソザイムによる活性の至適pH及び基質への親和性の相違を明らかにすることを目的に研究を行った.市販のヒト骨型,肝臓型,胎盤型及び小腸型ALPを使用した.基質にはパラニトロフェニルリン酸(pNPP),Na-PPi及びATPを使用し以下の結果を得た.1)pNPPを基質として,4 種類のALP活性はMg,Ca及びZn濃度依存性に増加し,50%活性化濃度はALPの種類にはよらず,Zn,Ca,Mgの順に増加した.Znは低濃度では活性を促進したが,高濃度では逆に抑制し, 2個のZn結合部位の性質は異なることを示唆した.また,各ALP活性の至適pHはALP,基質及びイオンの種類により変化した.2)pNPP 及びNa-PPiを基質として,骨型ALP活性はMg,Ca及びZn濃度依存性に増加したが,濃度依存曲線は基質によって異なった.3)MgとCaあるいはMgとZnを組み合わせて添加することにより骨型ALP活性は相加的に増加した.4)イオン及び基質の種類によらず,骨型ALP活性は阻害剤であるlevamisoleあるいはtetramisoleによって濃度依存的に阻害された.以上の結果はin vitroでは4 種類のALPには Mg,Ca及びZn結合部位が存在し独立してALP活性の促進が可能であること,活性の至適pH及び基質に対する親和性は存在するイオンによって変化しうることを示唆した.In vivoでもALPの生体内での基質は存在する2 価金属イオンの種類と周囲のpHによって変化する可能性がある.

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