頭部外傷患者におけるBenton視覚記銘検査

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  • Benton Visual Retention Test on the Patients with Traumatic Brain Injury

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説明

実施に2時間以上かかる場合もある Wechsler 成人知能検査 (WAIS-R) は注意や集中が持続しない症例には負担になることがある。短時間で実施できる Benton 視覚記銘検査 (BVRT) は, 頭部外傷患者に対してWAIS-Rを実施する前に, 知的機能のスクリーニングテストとして利用できる可能性があると考え, 検討した。対象は自賠責保険や労災保険の後遺症認定のために受診した重症頭部外傷31例で, BVRTとWAIS-Rを実施した。BVRTは正確数から推定されるIQ (正確数IQ), 誤謬数から推定されるIQ (誤謬数IQ) を求めた。正確数IQと誤謬数IQとの平均値を Benton 推定IQとした。WAIS-Rは言語性IQ, 動作性IQ, 全検査IQを算出した。結果は Benton 推定IQとWAIS-Rの全検査IQの両方が80以上を示したのは6例であった。5例は Benton 推定IQが80未満で全検査IQは90~120の間であった。他の20例は Benton 推定IQと全検査IQの両方とも80未満であったBenton 推定IQが80以上でWAIS-Rの全検査IQが80未満は1例もなかった。Benton 推定IQが高い例は常にWAIS-R全検査IQも高いことを示し, これらは追加的にWAIS-Rが必要でないと考える。もし Benton 推A定IQが低い例であれば追加的にWAIS-Rを行なう必要があると考える。WAIS-Rの実施は時間がかかり被験者も非常に疲れるので, 知能低下が疑われた場合は, まずBVRTを実施してWAIS-Rの検査を追加することが勧められると考えられた。

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