北海道東部の北筒式期における石器群の構造と原料の獲得消費─斜里町ピラガ丘遺跡の分析を中心に─

書誌事項

タイトル別名
  • The Uniqueness of the Stone Tool Assemblage from the Hokuto-type Period and What it Tells about Human Activities: With a Special Focus in the Piragaoka Site, Shari Town

抄録

本論では,北筒式期に属する斜里町ピラガ丘遺跡の黒耀石製石器を対象に,石器の技術的分析および黒耀石原産地推定を実施し,そのデータを常呂川流域の諸遺跡と比較検討することで,当該期の石器群の構造と原料獲得消費活動の結びつきについて考察する。  検討の結果,①北筒式期の石器群の構造は,尖頭器が狩猟具以外の多様な機能を担うことで成りたっていたこと,②当該期の尖頭器は原産地で大量に製作・搬出され,消費地である常呂川中・下流域や斜里平野などに搬入・消費され,その過程で③中・大形尖頭器は長期的にくりかえし使用されるような状況で運用されていたことが明らかになった。  尖頭器が組成の中核を担う北筒式期の石器群は,尖頭器製作に必要な大形原石の調達および尖頭器の大量製作・搬出に示される原産地の開発と,尖頭器の多機能化・長期使用といった特徴的な石器運用が一体的に結びつくことで,原産地における大規模石器製作跡の形成と消費地における遺跡の急増を引き起こした。そして,その消費地(生業地)の一つの拠点としてピラガ丘遺跡を位置づけることができるのである。

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