古事記の言象学的構造(その3)―「時」の源泉と歴史的世界―

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タイトル別名
  • コジキ ノ ゲンゾウガクテキ コウゾウ(ソノ 3)「 トキ 」 ノ ゲンセン ト レキシテキ セカイ
  • Die Logo-phenomenologische Struktur von Kojiki(Ⅲ)― die Quelle der Zeit und die Geschichtliche Welt ―

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抄録

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本論文において,『古事記の言象学的構造』の第三章全体が展開される.  第一章と第二章において,「始原の言葉」としての不定詞から動詞に至るまでの言象学的文法論が開示された.動詞が『古事記』におけるアマテラス大御神であること,そして,動詞は「言象領域(タカマノハラ)」の終端として,文法性を失って,「有る」(という動詞)となり,その「有る」がスサノオノ命であることが示された.  二つの章の解明の結果である,動詞と「有る」,その両者の関わり合いがこの第三章で展開される.動詞と「有る」の間には,忘却の川が流れていて,その川は『古事記』では,「アメノヤスノ河」と呼ばれる.この河を挟んでアマテラス大御神とスサノオノ命は,互いに子を生む.それらの「子」は,動詞と「有る」との関わり合いから生まれた歴史的諸哲学である.「有る」は,最後に,動詞を空無化し(スサノオノ命はアマテラス大御神に無礼な振る舞いをする),近代科学が歴史的に起こる.ここに,アマテラス大御神は「アメノイワヤト」に隠れ,「アシハラノナカツ国」,すなわち,「この世界」はニヒリズムの闇となる.しかし,やがて動詞が開顕し,動詞の下降形態が開示され,「世界(アシハラノナカツ国)」が動詞から本質照明(「自ら照り明かりき」)される(第四章以降の内容).  (斜体表記は,言象学的文法事項であることを表す)

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