青年前期のセクシャル・マイノリティへの認識からみた 性教育の課題に関する文献検討

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  • セイネン ゼンキ ノ セクシャル ・ マイノリティ エ ノ ニンシキ カラ ミタ セイキョウイク ノ カダイ ニ カンスル ブンケン ケントウ

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2020年12月に電通ダイバーシティ・ラボ( 電通,2022)が全国20-59歳の約6万人を対象に行った調査では,国内人口の約8.9%の割合でセクシャル・マイノリティが存在すると推計されている.人口にすると約1123万人である.この数字は2015年の約960万人から約163万人増加している.近年,セクシャル・マイノリティに対する違和感は以前より強調されなくなり,「特別な存在」としてではなく,多様な性の持ち主として認知が広がり,カミングアウトしやすい環境になっていることが人数の増加に関係していることも考えられる.しかし,それがそのまま偏見の解消へ直結しているわけではない(須長・小倉・堀川,他,2017).また,セクシャル・マイノリティは自殺のハイリスク因子(奥村・加瀬,2016)であるといわれている.セクシャル・マイノリティということで,否定的な言葉を発せられたり,暴力被害を受けることにより,自殺に繋がるという研究(奥村・加瀬,2016)がみられる.2012年自殺総合対策大網(厚生労働省,2012)にセクシャル・マイノリティが自殺のハイリスク因子であることが明記され,さらに,法務省・人権擁護局は平成26年啓発活動年間強調事項(法務省,2014)の項目の中に,性的指向と性同一性障害を理由とする差別解消に関する内容も明記した.これらはすべて,セクシャル・マイノリティへの理解と知識不足が招いた問題であるといえる.そのためには,学校教育におけるセクシャル・マイノリティに対する適切な理解と配慮・支援の浸透が必要であると考える.そこで,本研究は青年前期のセクシャル・マイノリティへの認識からみた性教育の課題や支援に対する示唆を得ることを目的とした.

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