肺腫瘍血栓性微小血管症(PTTM)で死亡した2 例

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タイトル別名
  • TWO CASES OF PULMONARY TUMOR THROMBOTIC MICROANGIOPATHY (PTTM)

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抄録

肺腫瘍血栓性微小血管症(pulmonary tumor thrombotic microangiopathy;PTTM)は,担癌患者において,肺の小動脈における腫瘍塞栓,線維性の血管内膜肥厚を契機に,肺高血圧および呼吸不全,播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation;DIC)や溶血性貧血を誘発する極めてまれな進行性の病態である.今回,我々は,PTTMの2 症例を経験した.症例1 は38歳女性,肺高血圧症による進行性の呼吸不全を発症した.急速に進行したため,人工呼吸器を装着した.上部消化管内視鏡検査を行ったところ,胃癌と診断された.経皮的心肺補助装置によるサポートを受けるも循環呼吸状態の増悪のため第10病日に死亡した.症例2 は,66歳男性,低酸素血症,溶血性貧血を契機に,DIC,癌の骨髄転移および,肺高血圧症が判明し,PTTMと診断された.原発巣を同定できず,原発不明癌として,化学療法を施行したが,第9 病日に死亡した.病理解剖により,PTTMと診断に至った.PTTMは急速に進行し,致命的な病態である.肺高血圧症の発症を防ぐために早期診断および治療が不可欠である.

収録刊行物

  • 横浜医学

    横浜医学 73 (4), 535-540, 2022-12-20

    横浜市立大学医学会

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