アジアにおけるサプライチェーン再編の動向:中国のASEANへの生産シフトを中心に
抄録
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近年、中国の人件費高騰に加えて、米中貿易摩擦の長期化や中国のゼロコロナ政策を背景に、「脱中国」の流れが加速している。外国企業の中国からの生産シフトだけでなく、中国の地場企業もASEANへの生産シフトが進められている。本稿は、中国からASEANへの生産シフトの動向を考察することによって、アジアにおけるサプライチェーン再編の新しい動向を確かめることを目的としている。中国からASEANへの生産シフトは、産業発展の客観的な規律に基づき、一部産業かつ一定規模に限られた動きである。中国国内の生産要素コストの上昇とASEAN諸国の投資環境の改善により、中国からサプライチェーンの移転がすでに進んでいる中、米中貿易摩擦がそれを後押しすることになる。米中貿易摩擦の影響を受けて、中国からASEANへの生産シフトは、製造業における労働集約型産業から電気・電子機器産業に広がり、生産工程を分散させるというサプライチェーンの拡張へとつながったと考えられる。今後は、アジアにおけるサプライチェーン再編に向けて、中国で構築されているサプライチェーンのレジリエンスを強化させるために、ASEAN諸国を既存のサプライチェーンに組み込むように、サプライチェーンをさらに拡張させる必要がある。
収録刊行物
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- 経済研究所 Discussion Paper
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経済研究所 Discussion Paper 382 2023-01-30
中央大学経済研究所
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1050294949472486144
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- departmental bulletin paper
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- データソース種別
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- IRDB