「絶対価値と交換価値」とリカードウの不変の価値尺度

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タイトル別名
  • ゼッタイ カチ ト コウカン カチ ト リカードウ ノ フヘン ノ カチ シャクド
  • David Ricardo's thought on the invariable standard of value in Absolute Value and Exchangeable Value

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説明

本稿はリカードウの遺稿「絶対価値と交換価値」を検討し,不変の価値尺度について,リカードウは新たにどのような方向性を打ち出そうとしていたのか論じる。この遺稿は『経済学および課税の原理』第3版と同じく,生産に必要な労働量がつねに一定であり,分配の変更による影響を全くうけない不変の価値尺度の条件をみたす商品を現実に見いだすのは困難と論じている。そしてすべての商品の生産条件のちょうど中間にある商品を尺度に選ぶことで,分配の変更による影響を全体として最小限にとどめることが望ましいと論じていた。その一方でリカードウは異なる生産期間の諸商品であっても,単位となるような生産期間に「還元」することで,完全な尺度を想定しうる可能性に言及していた。ただこれは平均利潤を割引率とみなすものであり,この遺稿はマルクス的なリカードウとスラッファ的なリカードウへの決定的な分断を示すことも指摘する。

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