インドネシアにおける労働市場の構造変化と賃金格差 : 調査個票から見た分析

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  • Changes of labor market structure and wage rates in Indonesia : Analyses based on the micro survey data

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抄録

本稿は、ミクロ的な調査個票を用い、2002年から2018年の労働市場構造の変化を定量的に分析し、この変化が賃金格差に及ぼした影響を、労働力の雇用形態別、学歴別、年齢層別に分析した。計測結果を総合すると、最も重要な構造変化は、農村男女よる正規雇用としての就業者シェアの拡大、逆に自営業や無給家族のシェア縮小であった。また都市女子の正規雇用シェア増大も顕著であった。2005年以降、高いGDP成長率を維持していたインドネシア経済には安定感があったため海外からの直接投資も順調に伸び、2014年には251億ドルとこれまでの最高額を記録した。こうした状況により正規雇用としての労働力の需要は拡大し、それに対して新規卒業労働力、および自営業や無給家族を多く抱えて労働力供給に余力のあった農村女子の労働力が対応したと考えられる。この様な農村における自営業や無給家族のシェア減少は、農業日雇いや非農業日雇いの供給源の縮小となり、彼らの賃金上昇の圧力となり、雇用形態間における賃金格差の縮小へと作用した。

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