水槽飼育下におけるヌエハゼの繁殖と卵および仔稚魚の発育

書誌事項

タイトル別名
  • Breeding and early ontogeny of Siphonogobius nue in captivity
  • スイソウ シイク カ ニ オケル ヌエハゼ ノ ハンショク ト タマゴ オヨビ シチギョ ノ ハツイク

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抄録

要約:下関市立しものせき水族館においてヌエハゼの繁殖に成功し,本種の繁殖生態と初期発育を明らかにした。また,仔稚魚の特徴を同所的に生息しているハゼ亜目魚類およびAcanthogobius Groupの数種と,文献情報に基づいて比較した。2011年4月2日から7月27日までに雄3個体,雌5個体が9回産卵し,2012年3月30日から7月12日まで水温12.0-23.5℃で同一個体のペアが8回産卵した。一回あたりの産卵数は1603-2461粒で,卵は産卵床の天井から垂れ下がり,浅いくびれのある紡錘状で,長径3.80±0.07 mm,短径0.93±0.33 mmであった。孵化は水温12.2℃では産卵から約500時間後に開始した。孵化仔魚の全長は4.90±0.23 mm(n=10),筋節数は13+19-20=32-33,口と肛門はすでに開き,卵黄はまだ残っていた。孵化後,20-50個体/mlの密度でシオミズツボワムシを,孵化8日後からはアルテミアを与えた結果,孵化55日後では全長36.40 mmとなり稚魚期となった。本種は仔魚期から稚魚期にかけて腹腔背縁,尾部背面,尾部腹面のそれぞれに樹枝状の大きな黒色素胞が1個ずつ分布すること,および筋節数が32-33であることによって同所的に生息している他種と区別できる。

収録刊行物

  • 水産増殖

    水産増殖 70 (1), 17-22, 2022-04

    津 : 日本水産増殖学会

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