水稲新品種「きたくりん」の育成

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タイトル別名
  • A new rice variety “Kitakurin”
  • スイトウ シン ヒンシュ 「 キタク リン 」 ノ イクセイ

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抄録

水稲新品種「きたくりん」は,(地独)北海道立総合研究機構中央農業試験場および道南農業試験場で育成された,いもち病圃場抵抗性および食味に優れる中生の粳品種である。「ふ系187号」を母,「空育162号」を父として行われた交配後代のF1を母とし,「渡育240号」(のちの「ふっくりんこ」)を父として,1999年に行った人工交配の雑種後代から育成され,2012年に北海道の優良品種に認定された。「ななつぼし」と対比した主な特性は以下の通りである。出穂期,成熟期は「ななつぼし」よりもやや遅い“中生の中”である。稈長は同等で,穂長は短い。穂数は同等で,一穂籾数はやや少なく,草型は「ななつぼし」の“偏穂数型”とは異なり“穂数型”に属する。穂ばらみ期の障害型耐冷性は“強”と同等である。割籾の発生は「ななつぼし」よりも少ない“少”である。収量性は「ななつぼし」と同等かやや劣る。白未熟粒の発生がやや多く,玄米品質はやや劣る。精米のアミロース含有率は高く,蛋白質含有率はやや低い。食味は並~やや優る。いもち病真性抵抗性遺伝子型は“Pia,Pii”と推定され,葉いもち圃場抵抗性は“強”,穂いもち圃場抵抗性は“やや強~強”といずれも優ることから,いもち病の本田薬剤防除を省略できる。本品種を「ななつぼし」の一部に置き換えて普及することにより,クリーン農業の推進に貢献できる。

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