数種タデアイにおける形態的形質,収量およびインジカン含量の品種間差異

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タイトル別名
  • Differences in morphological traits, yield and indicant content in several indigo plant (Polygonum tinctorium Lour) varieties
  • スウシュ タデアイ ニ オケル ケイタイテキ ケイシツ,シュウリョウ オヨビ インジカン ガンリョウ ノ ヒンシュ カン サイ

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抄録

徳島県立農林水産総合技術支援センターに保有しているタデアイ10品種の形態的形質,収量性および品質に関する品種間差を調べた。10品種は,葉の形と小花の色から4種に分類された。その4種は,長葉で白花の‘小上粉白花種’,‘百貫’および‘広島神辺’,長葉で赤花の‘小上粉赤花種’,椿葉で赤花の‘千本’と‘大千本’,縮葉で赤花の‘赤茎小千本’と‘宮城’であった。花穂の発生期を調べたところ,‘小上粉白花種’は10品種中で最も遅い9月上旬となり,葉藍品質の維持に優れた品種であった。一方,‘赤茎小千本’と‘宮城’は7月上旬に花穂が発生し,葉藍品質の低下から実栽培には適さない品種であった。収穫の作業性に関係する草姿は,‘小上粉白花種’,‘百貫’および‘広島神辺’,次いで‘小上粉赤花種’が扁平な草姿となり,畦間まで繁茂した。一方,直立型の‘赤茎小千本’と‘宮城’,扁平と直立の中間型である‘千本’と‘大千本’は,扁平なグループに比べて畦間での発根と繁茂が抑制され,機械収穫に適すると考えられた。‘小上粉白花種’,‘小上粉赤花種’,‘千本’および‘赤茎小千本’の4種を特徴的な品種とし,収量性を調べた。2008年度作では品種間差が認められず,2009年度作では‘赤茎小千本’の収量がやや低くなった。2009年度の5,6月の降雨量は,2008年度より少なく,‘赤茎小千本’の生育が劣った。直立型草姿の品種は,乾燥などの生育に不適な気象条件に影響されやすい可能性が示唆された。葉の品質を表す葉中インジカン量は,花穂形成と開花により,大きく低下することがわかった。各品種における生育盛期のインジカン含量は,‘千本’が最も高く,‘小上粉白花種’は‘千本’の約8割,‘赤茎小千本’と‘小上粉赤花種’は‘千本’の約5割となった。以上のように各品種の形態的形質,収量性および品質に関する品種間差が明らかになった。特に,花穂の発生が遅い‘小上粉白花種’,葉中インジカン含量が多い‘千本’,収穫作業性が良い立性草姿の‘赤茎小千本’は,品種育成の交配親として優れていると考えられた。

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