三要素、有機物及び土壌改良資材の長期施用が水稲収量や水田土壌化学性に及ぼす影響

書誌事項

タイトル別名
  • Effects of long-term application of NPK elements, organic matters, and soil amendments on rice yield and paddy soil chemistry
  • サン ヨウソ 、 ユウキブツ オヨビ ドジョウ カイリョウ シザイ ノ チョウキシヨウ ガ スイトウ シュウリョウ ヤ スイデン ドジョウ カガクセイ ニ オヨボス エイキョウ

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抄録

旧福島県農業試験場の3試験箇所(本場:郡山市、会津支場:会津坂下町、冷害試験地:猪苗代町)三要素及び有機物、土壌改良資材の長期連用による水稲収量や水田土壌化学性などについて検討した。その結果は次のとおりである。(1)水稲の収量 1996年から2005年までの10年間の精玄米重のデータを用いた。無肥料区が最も減収となり、三要素区に比べ4~5割ほどの減収となり、次いで、無窒素区が三要素区に比べ3~4割ほどの減収となった。無リン酸区は、冷害試験地で三要素区に比べ2割ほど減収し、高冷地である低温が影響していると推察された。無カリ区は三要素区に比し若干の減収であった。有機物や土壌改良資材施用により、三要素区に比べ概ね増収した。(2)水稲の養分吸収 試験終了年(2005年)の水稲成熟期の状況を調査した。乾物重及び窒素吸収量については、収量と関連が高かった。リン酸及びカリ濃度については、連作年数の長い会津支場、冷害試験地において、それぞれ無リン酸及び無カリ区の葉や茎の濃度が低い傾向がみられたが、穂の濃度に大きな差はみられなかった。カリ吸収量については、無肥料区や無カリ区で少なく、有機物や土壌改良資材の施用区で多かった。(3)跡地土壌の化学性 試験終了年(2005年)の跡地土壌について調査した。CECは、会津支場、冷害試験地において、有機物や土壌改良資材の施用区で高くなる傾向がみられた。交換性カリは、カリを施用していない無肥料区や無カリ区で低く、有機物を施用している区で高い傾向がみられた。全カリは、カリを施肥していない無肥料区や無カリ区で低い傾向は明確にはみられなかった。トルオーグリン酸とブレイIIリン酸は、リン酸を施肥していない無肥料区や無リン酸区で低く、有機物や土壌改良資材を施用している区で高い傾向がみられた。また、冷害試験地>会津支場>本場の順に区間差が大きかった。全リン酸は、リン酸を施肥していない無肥料区や無リン酸区で低い傾向がみられ、特に連作年数の長い会津支場や冷害試験地においてその傾向が大きかった。(4)結果の活用例(放射性セシウム吸収抑制対策への貢献) 2011年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所事故後、玄米の放射性セシウム吸収抑制のため、カリ肥料の上乗せ施肥と併せて稲わら還元を進める根拠として、本試験の稲わら区の土壌データを県内生産者への技術情報に掲載し、本試験の重要性を示すことができた。

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