弱光下における日中加温がトマトの生育とハウス暖房負荷に及ぼす影響

書誌事項

タイトル別名
  • Effects of daytime heating on growth of tomato and heating loads of greenhouse under low light conditions
  • ジャクコウ カ ニ オケル ニッチュウカオン ガ トマト ノ セイイク ト ハウス ダンボウ フカ ニ オヨボス エイキョウ

この論文をさがす

抄録

本研究では,弱光条件下において,トマトの乾物生産と光合成速度に及ぼす日中加温の影響を検討した。その結果,光合成有効放射10~25W・m-2 PARの光条件下では日中加温することにより光利用効率が高まり,乾物重が増加することが明らかとなった。また,日中加温を行う指標は屋外の日射125W・m-2以上が合理的であると考えられた。日射量が増える5月において,日中加温の設定温度を20℃から24℃に高めることによりトマトの生育速度が上がり,葉数が増加し,開花が早まることが明らかとなった。光合成速度は光合成有効光量子束密度(PPFD)が200μmol・m-2・s-1(太陽光の光合成有効放射換算で50W・m-2 PARに相当)を超えると昼温24℃のほうが20℃よりも有意に高くなった。冬季寡日照地域における日中加温の熱収支を明らかにする目的で,パイプハウスを供試して暖房負荷を実測した。福岡県の単棟ハウスにおける日中加温時の暖房負荷は,設定温度が高いほど大きく,ハウス被覆面からの放熱量が暖房負荷の82%~89%を占めていた。また,日中加温時の暖房負荷は,加温したハウス被覆面からの放熱量と土壌表層における地中伝熱量の和から無処理ハウスの値を引いて算出できると考えられた。促成トマト栽培における月別の期間暖房負荷は,12月~2月が同程度に高く,3月は比較的小さかった。20℃設定の日中加温用の燃油消費量は,12月~3月までの合計で1.20L・m-2と試算され,時刻別には加温開始時の9時から10時までが最も大きく,全体の2~3割を占めた。

収録刊行物

  • 園芸学研究

    園芸学研究 21 (1), 27-34, 2022-01

    東京 : 園芸学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ