旧外地関係資料の保存と継承 ―拓殖大学所蔵旧外地関係資料を例として

書誌事項

タイトル別名
  • Preservation and Inheritance of Books Related to Former Japanese Territories : A Case of Takushoku University Library
  • キュウ ガイチ カンケイ シリョウ ノ ホゾン ト ケイショウ : タクショク ダイガク ショゾウ キュウ ガイチ カンケイ シリョウ オ レイ ト シテ

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抄録

現在「旧外地」と称される、戦前日本の植民地等海外における支配地域であった台湾、朝鮮、満洲(中国東北部)、南洋等は、これらの地域で働く日本人青年を育成するために創設された拓殖大学(創設当時は台湾協会学校)にとって、格別な地域であった。学生は入学する時点で、卒業後は外地で働くことを誓約し、実際、卒業生の六割以上、数千人が海外に赴任し、現地で公私の事業に従事した。「旧外地」は、卒業生にとっては生活の基盤であり、学校にとっては、日本の海外発展政策と相俟って、その社会的評価を高めた揺籃の地であった。したがって「旧外地」に関する知識は学生にとって、その言語と同様、身に着けるべき必須のものであり、学校はそのための図書資料を必ず備えるべきものとしていた。それが後年、主にアジアを対象とする地域研究の学統を培っていったのは自然のことであった。しかも、学校の設置経営母体であった台湾協会(のち東洋協会)は、「旧外地」を対象とする調査研究機関であり、ビジネス・文化交流を促進するためのNGOであった。 本稿は、協会旧蔵図書の寄託、移管、寄付、譲渡を出発点とする拓殖大学図書館旧外地関係資料の成り立ちを明らかにし、同資料の果たした役割、将来果たすべき役割について、国内の他の「旧外地」関係資料の実情を踏まえて考察するものである。

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