書誌事項
- タイトル別名
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- Factors influencing student performance in Japanese university English classes
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説明
今回は日本の大学生が考えるEFL(外国語としての英語)が,下記に述べている7つの要因によって左右される事について研究しました。その要因とは,1)国際志向の強さ,2)英語でのコミュニケーションに対する不安,3)英会話能力に対する自己評価,4)過去に経験した英語教育の影響,5)現在受講している英語授業での経験,6)グループワークの必要性についての考え方,7)英語の社会的価値に対する考え方,の7つが考えられます。関東地方の大学生258名に対し,5点リッカート尺度を用いて28項目のアンケートを実施しました。その結果,国際志向と英語能力との関連性は,2002年に八島が記した論文内の「国際志向と英語能力の関連性」の内容と同様の結果となりました。TOEICの点数に関わらず,英語でのコミュニケーションに対する不安 (FLCA)はあります。多くの場合,コミュニケーションの不安は,英会話能力に対する自己評価の低さや,過去の英語教育での否定的な経験からきていると思われます。一方で,TOEICスコアが比較的高く英語力の自己評価も肯定的なグループが,英語のコミュニケーションに対する不安を報告した場合,未経験の領域とプレッシャーのある環境が組み合わさって,他者からの評価と,テストを受ける事に対する不安を生み出すと理論づけられています。コミュニケーションの不安が最も少ないと報告されたグループは,お互いをよく知っている少数の学生で構成されたクラスでした。それは,学生たちがお互いに協力的で,非競争的な関係によってもたらされたと考えられ,教師は,この前向きな環境を生み出す上で重要な役割を果たしています。この論文の着目点は,教室で仲間と積極的に英語を使用して関わる事がお互いに相乗効果となりやりがいが生まれ,英語を学ぶ事が脅威でなくなり,代わりに学生のアイデンティティの肯定につながるというところです。教師は,この様な教室の雰囲気をつくる為にあらゆる努力が必要です。
収録刊行物
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- 拓殖大学語学研究
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拓殖大学語学研究 148 265-293, 2023-03-25
拓殖大学言語文化研究所