特殊文庫関係資料の編成記述に関する試論―大学図書館所蔵アーカイブズへのISAD(G)適用―

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書誌事項

タイトル別名
  • An Attempt at an Interpretation of the Arrangement and Description of Materials in Special Collections: The Application of ISAD(G) to the Archives of a University Library Collection

説明

本稿は、一橋大学社会科学古典資料センターの所蔵する「特殊文庫関係資料」という資料群について整理を行い、その実践にもとづきISAD(G)を適用した編成記述を試みるものである。特殊文庫関係資料とは、本学保有の一大コレクションであるメンガー文庫やギールケ文庫の成立にまつわる小規模資料群である。過去に整理された経緯があるが整理方針等は不明瞭であり、残存する資料群は原秩序の部分的崩壊や出所の混在といった特徴を有していた。これらの資料特性に即してISAD(G)を柔軟に適用し、実用面を重視した編成記述のあり方を検証した。実用面の重視とは、資料理解にかかる利便性と正確性の向上を意味する。結果として、構造分析を経て階層性に部分的秩序を反映させ、出所の別を構造上区分することができた。またレベル別記述によりコンテクストを明示し、秩序が希薄な資料群の全容および資料相互の関係性を明らかにできた。つまり、階層構造の人為的な付与が情報の伝達性を高め(利便性の向上)、コンテクスト情報の付与が資料理解の深化を促した(正確性の向上)といえる。最後に、一橋大学附属図書館のアーカイブズ管理に関する背景事情の一部に言及することで、上記資料特性の生じた要因を探り、ISAD(G)記述式の有効性について再考した。

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