絵本からはじまるナンセンスとユーモアを楽しむ保育実践

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タイトル別名
  • Nursery practice to enjoy nonsense and humor through picture books

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説明

本研究では,子どものナンセンス体験を常識外れの逸脱や意味不明な虚無に触れる体験として定義し,ユーモアを交えながらナンセンス体験をすることが子どもの中に遊び心を豊かに育むことにつながると考え,絵本の読み聞かせをきっかけとして展開されるナンセンスとユーモアを楽しむ保育実践を記録し,分析・考察した。対象は2~5 歳児クラスの子どもたちであり,「おへそを見せて」「パンツを見せて」「おならの音を教えて」などナンセンスな問いかけを含んだ6 つの実践記録を取り上げた。その結果,2 歳児では自己の視点や問いの内容をあまり意識することなく,他者の行動を反射的になぞってしまうような姿が多く見られたのに対し,3 歳児では自己の視点や問いの内容を少しずつ意識しながらも,その場の雰囲気やノリによって生じた自己の心の動きに素直に応じるような姿が多く見られた。また,4 歳児では自己の視点と仲間への意識が明確になり,問いの内容と意識される仲間との関係の中でナンセンスな問いかけに応じるかどうかを判断するような姿が多く見られた。5 歳児では自己の視点と仲間への意識がより強まり,自己と外部との境界面にひび割れを生じさせる恐れのあるナンセンスな問いかけに対して警戒心を示すような姿が多く見られた。最後に,ナンセンス体験の保育実践上の意義と遊び心を豊かに育むうえでの意義が考察された。

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