ピアノ初心者の個人練習支援を目的とした練習内容の解明

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タイトル別名
  • The elucidation of the contents of practice for supporting a beginner piano studentʼs individual practice

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抄録

保育士・教員養成校にはピアノ実技の授業があり、教育実習等が始まるまでの短期間に童謡の伴奏技能の習得が求 められる。特に経験のないピアノ初心者にとって授業時間外学習である個人練習は重要と考えられる。しかし、一般 に教員は学生の個人練習の中身を把握しにくく、個人練習の経緯を十分に把握できない状況で授業を進行するため、 結果として授業効率が低下する場面が見られる。個人練習の内容を把握し内容を解明できれば教員は学生の習得状況 を把握でき、効果的かつ効率的な指導へ繋がる可能性が考えられる。そこで本研究ではピアノ初心者の個人練習の内 容を明らかにすることを目的とし、個人練習を収録した音データから解析することを試みた。具体的には、2名のピ アノ初心者を対象に電子ピアノのMIDIデータを全て取得して、音データと楽譜データのマッチング状況をヒートマ ップで示し、MIDIデータのノート画像とリンクして分析した。その結果、24曲の課題曲群から弾いた曲の特定、練 習の進め方、部分練習の箇所と回数、練習時間、さらに弾き間違えの有無など個人練習の様子や質を明らかにするこ とができた。また、練習時間は3分から50分、時間帯は早朝から深夜まで幅が広いことがわかった。更に、より詳し い練習の状況を確認するためにWebアンケートとインタビューを行った結果、練習時間帯や習得状況により自ら練 習の組み立てを考えて進めていることがわかった。本研究の結果により、学習者の個人練習の内容を把握した上での 授業の進行や、個人練習の方法そのものに対する教員から学習者へのアドバイスの実施など、特に実技経験のないピ アノ初学者に対する学習支援への応用可能性が期待できる。

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